こんにちは 生地の森 です。
最近、リネンのカーテンにどんな生地が向いているかというご相談を頂きます。
生地の森は、これまで服地を目的として、ファッション性に富んだ生地を中心に考えてきていたので、この質問に、最初は少し戸惑ったことを思い出します。
「うちの生地はカーテンに向くのかなあ…」と、正直不安でした。
それは、カーテンの生地とは一般的に、
洗っても縮まない防縮加工
火災などで火が燃え広がらないような防炎加工
直射日光を遮る遮光機能
などなど…様々な機能性に富んだ付加加工がされて各カーテン生地メーカーが販売されています。
しかし、私たちはカーテン生地メーカーではございません。
生地の森の生地は、服地を目的に作られているものなので、カーテン生地用の付加加工は一切備えておりません。
ですので、カーテンに向いた生地ではございません。
もし仮に、生地の森の生地を気に入って使っていただいても、「洗ったら縮んだ」「色が焼けた」「光を遮らない」などの不満の声をいただくのではないかと不安と、心配の方が膨らみます。
ちょっとした目隠しに使うなら何でもよいかと思いますが、お部屋の窓全体に使うカーテンに、なんでカーテン生地でもないリネンの生地を使おうと考えるのだろうか・・・?
と、あの日の出会いまで疑問でした。
ある日、仕事の都合で、とある住宅を訪問したときのことです。
そのお宅のリビングには大きな窓ガラスがありまして、そこに白い布の素朴なカーテンがかかっていました。
直ぐに気になり、カーテンの生地のことを聞いてみると、リネンの生地とのこと。
それまで使っていたカーテンがどうもいまいちしっくりこなくて、そのあと色々と探しても見つからず、最終的に知り合いにお願いして、この白いリネンの生地で窓のサイズに合うようにオーダーメイドしたとか。
ちょうど前日に出来上がったばっかりと、満足そうに眺めている姿がとても印象的でした。
天井まである大きな窓なので、日差しとか、透け感など、気になったりしないのかなあと思いながら、お話を伺ってみたら、とにかく自分の気に入ったものにしたかったとのこと答えが返ってきました。
お庭は大きな木で囲まれていて、とくに周りの家から見られる心配とか、日を遮断させるとか、そんなことは対して気にしていなかったようです。
その時わたしは、それまで既成概念にとらわていたのではないかとすこし感じました。
カーテンに使ったリネンの生地は、お部屋の雰囲気にぴったりしていて、こだわりが伝わってきました。
この日から、リネンの生地をカーテンにしたいという方は、きっとこういう感覚に近いものをもっているのではないかと思うようになりました。
本来あるカーテンの機能性を求めているというよりも、その人の感覚にあったもの、センスよく見えるもの、どこかでみた素敵な雰囲気に憧れて、自分の感覚にフィットするものを探しているんではないかなと思いました。
あの出会いから、リネン生地のカーテンはとっても素敵だなと思っております。
リネンの生地は、本来もつカーテンの重厚な感じはないけれど、お部屋をやわらかい光につつんでくれて、主張しません。素材そのものが醸し出す素朴なぬくもりは他では味わえない雰囲気があります。
たったの布1枚でも、お部屋の雰囲気や見え方までを一新して変えてくれるのですね。
今、生地の森の事務所の撮影場所の一室、南向きの窓一面はリネン生地のカーテンです。
日中はさすがにまぶしい日差しを浴びますが、朝や夕方は何とも言えない、ぬくもりのある光が部屋の空間を包んでくれます。
もし今このページにたどりついた方、リネン生地でカーテンをと探している方がいらっしゃいましたら、一つのヒントとしてご参考までにご覧頂けたらと思います。
ここからは天然素材の生地の特徴と合わせて、お部屋の空間演出にピッタリな生地の森のおすすめの生地をご案内します。
お部屋の雰囲気づくりにおすすめの生地
こちらはベルギーリネン(亜麻)の素材の生地です。素材の特性上亜麻色といわ
れるように、キナリの黄味が強いのが特徴です。
他の生地と比較しないとわからない程度ですが、
オフ(晒して白くする)もキナリが影響するので、黄味が若干つよくなります。
ふっくら感とくたっとした柔らかな風合いは、見ているだけで優しい気持ちにさせてくれます。
生地サンプルはコチラ
麻らしいざらっとした質感とざっくりとした風合いで、粗野感のある素朴なカッコよさがあります。140cmと広幅の生地なので、たっぷりとつかえるのもポイントです。男前なインテリアをお好みの方にはおすすめです。
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タテ糸にラミー(苧麻)とヨコ糸にリネン(亜麻)の糸を交織させて、シャリッとした肌触りと、ソフトな弾力が特長です。ラミー(苧麻)の原料のキナリはリネン(亜麻)と比べると青白い色味があるので、この交織の生地もオフ(晒して白にする)もキナリに影響されるので、青白気味のオフホワイトになります。
また程よい光沢感もあるので、ほんのりエレガントな雰囲気もあるかもしれません。
生地サンプルはコチラ
1/80番手の極細番手リネン糸で織られたローンタイプの生地です。
天然素材でこんなに繊細な風合いの生地は他にはないかもしれません。それくらい希少価値のある細番手のリネン生地ですので価格もそれなりですが、雰囲気はたっぷりと感じていただけるかと思います。薄手の生地なのできっとレースのカーテンのように使うのが良いかと思います。
生地サンプルはこちら
リネン生地など天然素材の生地をカーテンに使用する際の注意点
前にも申しましたが、当店の生地はカーテン用につくられた生地ではございません。そのためカーテン生地の本来もつ機能面や付加加工は施しておりませんので、予めご了承ください。
天然素材の生地の特徴
綿や麻の天然素材の生地は直射日光に非常に弱いです。
なので、カーテンにされると生地の劣化は進みます。
色物に限らず、キナリやオフホワイトも日焼けで色褪せしますので、ご注意ください。
また素材の特性上、洗濯により若干の縮みは避けられません。
最後に…
ここまでお読み頂きありがとうございます。
リネンなど天然素材の生地をカーテンに使われるにあたっては、 透け感、縮み、色褪せ、色やけ、劣化は避けられません。また遮光はしません。 あくまでも、機能性ではなく、 自然素材そのものが醸し出される風合い、 雰囲気作りにお楽しみください。
経年による変化も自然素材ならではの味になります。
ゆとりのあるライフスタイルに、お使いいただけたら幸いです。