こんにちは生地の森です。
じめじめとうっとうしい梅雨の季節になりましたね。この時期は特にリネンや麻生地に関するお問い合わせやご相談を多数いただきます。
さて、「リネン」って麻の種類の一種で、ほかにも種類があることをご存じですか?
今回は、麻の種類について詳しくお届けしていきます。
さて、突然ですがクイズです!
Q1 衣料用に使われる麻の種類は3つあります。それは何と何と何でしょう?
Q2 じめじめの季節、汗ばむ夏に一番快適と思われる麻の種類は何でしょう?
(答えは本記事の末尾へ)
【目次】
1.「麻」とは?
すこし堅苦しい言い方になりますが、麻とは、生地を織る糸の原料となる「繊維」のことを「麻」と言います。
2.「麻」の種類について
「麻」にはさまざまな種類がありまして、主に衣料用に使われている「麻」の種類には大きく3つあります。
・亜麻(あま)…リネン
・苧麻(ちょま) … ラミー
・大麻(たいま) … ヘンプ
「麻」の繊維の原料はこれらの植物になります。
「麻」は植物の茎の靭皮部分から採られる植物繊維で、セルロースが主成分となります。 それらを称して麻と呼んでいるのです。
「リネン」は聞き慣れているかと思いますが、実際に皆さまの身の回りにはリネン以外の麻の生地もあるかもしれませんね。
3.「麻」の繊維の主な特徴
「麻」の繊維の主な特徴は、吸湿性が高く、放熱性に優れ、肌に触れたときに涼しく感じるので、春夏物の衣料品に多く使用されてる繊維です。そこで、上にあげた3つの繊維
・亜麻(あま)…リネン
・苧麻(ちょま) … ラミー
・大麻(たいま) … ヘンプ
下の写真はそれぞれの繊維から作られた生成り(キナリ)糸です。種類ごとの違いがはっきりと分かります。
続いては、これらの特徴を見ていきたいと思います。
〇 亜麻(あま)-リネンのヒミツ
→リネンの原料
リネンの原料は亜麻=フラックスという植物です。
フラックスは亜麻科の一年草で、連作しないため収穫量に限りがあり、いっそう貴重な原料となっております。
フランス、ベルギーなどヨーロッパや、中国の比較的涼しい地方で栽培されています。
→リネンの特徴
・丈夫で長持ち
しっかりした繊維でできているリネンは、腰が強く耐久性にも優れています。
濡れると強さが一層増し、繰り返しのお洗濯にも強く、丈夫で長持ちします。
・汚れがついても落ちやすい
リネンの繊維に含まれるペクチンには汚れを染み込みにくくする性質があるため、繊維自体に天然の抗菌性があると言われています。汚れがついても落ちやすく、また繊維の毛羽が付着しにくいことから衛生的でファッションアイテムをはじめ、キッチンクロスやインテリアファブリックなど幅広く愛用されています。
・使うほど肌に馴染み、変化を楽しむ
リネンは独特ななめらかさと優雅な光沢感があり、触れてもチクチクせず、ソフトな肌触りが特徴です。
腰が強く丈夫な繊維でもあるため、長持ちで使うほどに風合いが増し、くったりと肌に馴染んでいきます。
・通気性・保温性に優れ、通年適した素材
リネンの繊維は中が空洞に空気が含まれているため、寒い冬は体温で暖まった空気が体を暖かく包み込み、汗ばむ季節は上手に水分を逃がしサラッとした肌触りで過ごすことができます。通気性と保温をバランス良く保ち、一年中快適にお使いいただけます。
・色は黄みがかった生成り(亜麻色)
→リネンの欠点
・濃色品は鮮明に染まり難く均一な染色が難しい。
・皺がつき易い
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〇 苧麻(ちょま)- ラミーのヒミツ
→ラミーの原料
ラミーとは苧麻(ちょま)と呼ばれ、多年草の植物で、繊維は茎の靭皮(じんぴ)部から採取されます。
50日間で約150cm~200cmと生育は極めて旺盛で温帯で年に2~3回、熱帯では4回~6回収穫でき、中国、ブラジル、フィリピンなどの温暖で湿気の高い気候の土地で栽培されています。
→ラミーの特徴
・麻の中で最も繊維が強い
繊維が太くて長く、天然繊維の中で最も強度に優れている。
・ 清涼感がある
天然繊維の中でも最もシャリ感があり、汗ばんでも 肌に密着せずベトつかない。
汗を素早く吸収し、放出するため気化熱を奪い涼感がある。
・繊維のコシがつよいため、織糸が滑脱しにくく通気性に優れた織物になる。
・強い洗いにも耐え洗濯で汚れが落ちやすく、清潔さが保持できる。
又、水に濡れると繊維 強力が向上するので洗濯回数の多い夏期に適している。
・色は白く、絹様の光沢がある。
→ラミーの欠点
・苧麻の代表的な欠点は、繊維が粗硬なので、肌への刺激が強い。
・摩擦に対して毛羽立ちしやすい。
チクチク感を感じやすい生地は、主にラミーが原料の生地ということが分かります。
但し肌触りには個人差もありますので、敏感な方はラミーが原料の生地にはご注意ください。
→生地の森の代表的なラミーの生地
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〇大麻(たいま) – ヘンプのヒミツ
→ヘンプの原料
ヘンプ(大麻)とは桑科の1年生で、雌雄異株の双子葉植物のことをいいます。
「麻」という言葉は、日本では古くから大麻のことを指しているとのことです。
生産地は中央アジア、中国、ロシア、ルーマニア他。ヨーロッパでは、冬に植えられることが多い作物です。
→ヘンプの特徴
・ラミーやリネンよりシャリ感があり、肌触りが涼しい。
・糸の強度はラミーよりも弱いが、引張り強度で綿の8倍、耐久性で4倍の強度を持つ。
・繊維構造が中空のため、吸湿、吸汗性がある。
・通気性に優れている。
→ヘンプの欠点
・太くて短いバラツキが多い繊維なので、紡績して糸にするのが難しい。
・粗硬な素材なので、糸ネップやスラブが生じやすい。
・黄味がかった色合いで、光沢はラミーよりも弱い
ヘンプ生地はなかなか少ないのが現状で、現時点で生地の森でのヘンプの生地の取り扱いはございません。
4.まとめ
「麻」とは繊維のこと。
「麻」は植物から採れる繊維のことで、主成分はセルロース。
「麻」には大きく3種類の植物がある。
・亜麻(あま) … リネン …黄味がかった色合い
・苧麻(ちょま) … ラミー …青白く絹のような光沢
・大麻(たいま) … ヘンプ …黄金色
〇亜麻(あま)リネンの特徴
・繊維の長さ・・・細くて短い
・糸の強度・・・苧麻(ラミー)よりも弱い
・質感・・・比較的しなやか
・色味・・・黄味がかった色合いで、光沢は苧麻(ラミー)よりも弱い
〇苧麻(ちょま) ラミー の特徴
・繊維の長さ・・・太くて長い
・糸の強度・・・天然繊維の中で一番強いと言われている
・質感・・・ハリ感が強い、 肌への刺激が強い 、清涼感がある。
・色味・・・白く絹のような光沢が有る
〇大麻(たいま) ヘンプの特徴
・繊維の長さ・・・太くて短い
・糸の強度・・・苧麻(ラミー)よりも弱い
・質感・・・硬い、 糸ネップやスラブが生じやすい。
・色味・・・黄味がかった色合いで光沢は苧麻(ラミー)よりも弱い
【豆知識】
お洋服の左脇を見ると、品質表示タグが付いているのをご存じですか。 お洗濯の際には洗濯表示を参考にされると思いますが、そこに書かれている素材の表示は繊維表示になります。
日本には「家庭用品品質管理法」というものがあるのですが、衣料品の品質表示で「麻」と表示されている場合は、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)のことを言います。 ヘンプ(大麻)は指定外繊維 と書かれます。
麻には、リネン以外にラミーとヘンプという種類があることがお分かりになりましたでしょうか。
生地の森は、麻( リネン ラミー)を中心に、天然素材の生地を企画、製造、販売しております。
生地の種類や色を豊富に取り揃え、長さ50cmから、反物販売、卸販売とご対応しております。
ぜひ生地の森にお立ち寄りください。
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クイズの答え合わせ
Q1→リネン、ラミー、ヘンプ
Q2→ラミー
おまけ
おすすめの絵本。
主人公のもぐらくん。お気に入りのズボンを作るために奮闘するお話ですが、リネンのことがとてもわかりやすくコミカルに載っています。よろしければお子様と一緒に読んでみてください。
「もぐらとずぼん」 福音館書店より
最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまのご利用を心よりお待ちしております!