MAGAZINE生地の森スタッフが、おすすめ商品や
生地にまつわるコラムなどをご紹介致します。
「水通し」
裁縫をされる方でしたらよくご存じかと思いますが、洋服等をお仕立てする前に、
「生地を整える作業として、水通し(地直し)」があります。
当店にも「この生地は水通しが必要ですか?」とお問い合わせをいただくことがあります。
そこで、今回は、生地の水通しにスポットを当てて水通しのアレコレを実践をしてみたいと思います。
生地は「仕立てる前に必ず水通しをしなければならない。」
そう思っている方は多いのではないでしょうか。
では、なぜ水通しをするのでしょうか?
・生地の縮みを落ち着かせる
・生地の歪みを整える(地直しする)
・糊を落とす
主に、このような理由が挙げられるかと思います。
当店で取り扱う生地は、アパレル用に企画、製造しているので、すぐに裁断し、製品化されるように作られています。
また、糊付けなどは行っておりません。
そのため、届いた生地をそのまま仕立てることができます。
ただ、ここで注意していただきたいのが、綿や麻など天然繊維の生地は、水洗いをすると多少縮むということです。
これは、既製品の洋服なども洗えば縮みが生じるように、当店の生地も同じように縮むと考えていただければ分りやすいかと思います。
また、目の粗い生地などは、地の目が歪みやすいです。
生地を見て、もし地の目が歪んでいると思われたら、地の目を整えていただくことでキレイに仕立てることができます。
寒さを感じるこの季節は、当店では、リネンウールが人気です。
リネンウールは、ウールが含まれますので、水通しやお洗濯について、迷われる方も多いかもしれません。
そこで、リネンウールを水通しすることでどのように変化するか調べてみました。
今回行なった水通し方法は、生地を30分程水に浸し、手で軽く水気を絞り、陰干ししただけの簡易的なものになります。
特にアイロンなどは当てていません。
使用生地:IN50512 洗いこまれた綾織リネンウール
カラー:ブラック
【結果】
タテ幅…5mm程縮みました。(縮み率 約1%)
ヨコ幅…変わりませんでした。
【感想】
水通し後は、水気を絞りハンガーにかけましたが、生地からわずかに水が落ちるくらいの状態での陰干しとなりました。水の重みからか、1%程の縮みでしたが、洗濯機で長く脱水すれば、もっと(2〜3%程)縮むのではないかと思います。
ここで、アイロンを当てたら、どうなるのかが気になりました。そこで、同じ生地を再度水通しして、半乾きの状態でアイロンを当ててから、サイズを測ってみました。結果、縮みはなく、逆に生地が少し伸びていました。
使用生地:IN50561 綾織りベルギーリネンウールビエラ40番手
カラー:キナリ
【結果】
着丈…1cm程縮みました。(縮み率 約1.6%)
肩幅…変わりませんでした。
【感想】
こちらは、ブラウスということで、生地のみと違い、カサがあるので水通し後の水を絞るのが、
やや大変でした。水を絞った後、ハンガーにかけると、少し水が落ちる程度まで絞りました。
こちらも水の重みからか、着丈1.6%程の縮みでした。
使用生地:IN50624 平織りラミーリネンウールキャンバス25番手
カラー:カーキグリーン
【結果】
着丈…1cm程伸びました。(伸び率 約1%)
肩幅…変わりませんでした。
【感想】
まさか水通しで生地が伸びると思いませんでした。
これは、比較的ボリュームのあるワンピースだったため、手で水気を絞るのはかなり大変でした。
ハンガーにかけると、水がボタボタと流れ落ちるほどで、かなり水気がある状態で影干ししたので、水の重みで縮まなかったと思われます。
生地の違いや水気の切り方で、多少の縮率は変わりますが、軽く水気を切ってから影干しすれば、
リネンウールは、それほどの縮みは生じないということが分かりました。
確かにウールのセーターなども、脱水しすぎると縮んでしまいますよね。
脱水を極力短くするのがポイントかもしれません。
また、ヨコ方向は、ほぼ縮まないので、気にされなくて良いかと思います。
今後の作品作りの参考にしていただけたら幸いです。