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生地の森 はじめてのオリジナル生地「ヴィンテージ」第4回 さらにリアルな古着感を追求した「ダメージダイド&ウォッシュ」
vol.40
生地の森である理由(全5回)

生地の森は、「生地の森らしい」とか「他にはない風合いが好き」また「他の店と比べると値段が高い」とさまざまなご意見やご感想をいただきます。そこで、皆さまにより親しみと関心を持っていただくために、生地の森のオリジナル生地誕生における秘話や、生地作りにまつわる裏側を全5回に通してご紹介していきます。

第4回 さらにリアルな古着感を追求した「ダメージダイド&ウォッシュ」

目次
  • 世の中にはない生地を届けたい思い
  • 「誰にも真似のできない」本当の意味
  • 二つとない偶然性が生む「シワ」「色ムラ」を実現させた「ダメージダイド&ウォッシュ加工」
更新 2024年4月26日

世の中にはない生地を届けたい思い

生地の森 リネン生地 ムラ感 リュードバック加工 アンティーク風ラミーリネン
リュードバック加工の「アンティーク風ラミーリネン」

90年代から始まった「汚いツラ感」や「フェード感」を狙った生地の味づくり。

これまで「ヴィンテージ加工」、「リュードバック加工」、そして「リュードバックハーフ加工」と開発を続けて、生地の概念を少しずつ変えてきました。

前回のお話:生地の森である理由(全5回) 第3回 まるでデニムのような表面変化が可能な「リュードバック加工」

ここからさらに
「自分たちにしか作れない生地を届けたい。」
「世の中にはない味と雰囲気のある生地を届けたい。」
という思いが強まり、行き着いたのは、「古着のようなこなれた風合い」でした。

従来は「表面が均一で美しく仕上げるべき生地」が一般的に世には認められていましたが、それとは真逆を行くようなリアルな古着感を出すためにはどうしたらよいか。

「ヴィンテージ加工」や「リュードバック加工」「リュードバックハーフ加工」にはなかった、リアルなシワや染めのムラが出せないかというのが次の課題でした。

「誰にも真似のできない」
  本当の意味

従来からある表面を均一に美しい生地に仕上げるには、シルケット加工は必須です。

天然繊維の綿や麻の糸は糸節があるため、糸の太さは均一ではありません。
そのため、表面はボコボコとムラが出来、そのまま染めれば当然糸ムラになります。
従来の生地はそのムラが一切出ないように、シルケット加工を施して均一な面を作って、染料を乗りやすく下地を作ってから染色をしていきます。

生地の森 シルケット加工 フラット リネン 生地
シルケット加工を施したフラットでムラのないリネン生地

シルケット加工は、生地を織る前の糸の段階と織った後の生地の段階のダブルで行われる場合もあるほど、綿や麻の天然繊維では生地の織布や染色を効率よく仕上げ、さらに生地に色ムラなど欠点とされる箇所を出さないためには当たり前の処理なのです。

ならば、シルケット加工をしなければムラは出来る!

シルケット加工をしないということは、単に工程が減って楽に仕上がるわけではありません。
生地は、シルケット加工から染色加工、仕上げの工程が連動している(連続染色)ので、シルケット加工をしないとなると、工程をバラバラにし、一つ一つ手作業で行わなければいけなくなり(非連続染色)、従来の製造スピードの何倍もの手間と時間がかかり、効率も悪く面倒になるのです。

生地の森 リネン生地 ダメージダイド&ウォッシュ 染色工場
生地の工程を増やし、シワとムラのある生地を作りだす職人

工程が増えれば増えるほどコストも増してしまいます。
わざわざ手間と時間かけて面倒なことをしてムラを出しても、そもそもムラのある生地は一般の生地の高い品質基準を無視するような行為と同じだから、何のメリットがあるのかと誰が真似をするだろう。

「誰にも真似のできない」とは、面倒で無駄の多いことへの挑戦だったのです。

二つとない偶然性が生む
「シワ」「色ムラ」を実現させた
ダメージダイド&ウォッシュ加工

生地の森 リネン生地 ダメージダイド&ウォッシュ 綿麻ウェザークロス ダメージダイド

リアルなシワや、染めのムラ、よりリアルな「古着感」
それらを追求して開発されたのが「ダメージダイド&ウォッシュ加工(ddw®)」です。

生機(キバタ)の状態から特殊なダメージを生地に加えて、同時に染を施すことで、偶然性の高い「染め感」と「風合い」を生みだしていきます。

プリントの柄でダメージを描いたり、後加工処理など意図的にダメージを加えるのではなく、大量生産では決して再現することのできない、この世に二つと同じものが存在しないリアルな染め感の表情のある風合いを実現させました。

生地の森 リネン生地 ダメージダイド&ウォッシュ 綿麻ウェザークロス ダメージダイド

さらに「ダメージダイド&ウォッシュ加工(ddw®)」では、「リュードバックハーフ加工」で培った技術を活かして、ウォッシュアウトするたびに表情を変えていく工夫もされているので、洗いこむほどにフェード(経年変化)していく大きな特長も併せ持ち、使い始めから古着感を味わいつつ、着れば着るほどにさらに味わいが深まる意匠が成されております。

この「ダメージダイド&ウォッシュ加工(ddw®)」の初代の製品が「綿麻ウェザークロスダメージダイド」です。

綿麻ウェザークロス ダメージダイド 生地の森
現在も生産・販売中の「綿麻ウェザークロスダメージダイド」

「綿麻ウェザークロスダメージダイド」は、生地全体に色のムラやシワ、アタリ(擦れてできるスジ)が生まれ、生地の森の生地の中では、もっとも「汚いツラ感」と云えるかもしれません。しかし、その作為的でないリアルなムラ感が、使い込んだような古着の雰囲気を醸し出し、ヴィンテージテイストのファッションの先駆けとなりました。

「ダメージダイド&ウォッシュ加工(ddw®)」を用いた生地は、その他に「オリジナル麻40番手」が代表的な生地になります。

綿麻ウェザークロス ダメージダイド 生地の森
現在も生産・販売中の「オリジナル麻40番手」

「オリジナル麻40番手」は、濃淡をぼかしたような幻想的な表情が特徴的です。しかしそれは偶然が生んだ染めムラ。色によってもその表情は異なり、時には上品に、時にはモードに、様々な表情を漂わせます。

このように「ダメージダイド&ウォッシュ加工(ddw®)」は、加工する生地の素材や、糸、織りの違いで、風合いやシワ感やムラの出かたも様々で、密度の高い生地はシワやムラの感じもより強く、甘い織りの生地は全体的にぼんやりと、様々な味と雰囲気を醸し出します。

また、天然素材そのものの味がそのまま染めムラの表情に現れているため、色や製造ロット間でも色ブレやシワなどの表情の出かたに差が出やすく、まさに同じものが二つとない偶然性が生む「シワ」「色ムラ」は、同じ形の洋服を色違いで仕立てても、「単なる色違いのアイテム」ではなく、「唯一無二のアイテム」になることでしょう。

同じ加工方法でも、糸番手や織りによって様々な表情を見せる「ダメージダイド&ウォッシュ加工」。
用途や作品の雰囲気に合わせて、それぞれ特徴の異なるリネン生地をお楽しみください。

生地の森である理由(全5回)


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